伊江島のナイトダイビングでオオヒカリキンメ発見

伊江島の北海岸の海でオオヒカリキンメを発見、写真も撮ることができました。

伊江島のオオヒカリキンメ

伊江島のオオヒカリキンメ

沖縄のヒカリキンメダイ

オオヒカリキンメは、2013年に真栄田岬で見つかった個体が日本初記録とされ、論文が出されています。

伊江島で20数年前、スタッフだけでナイトダイビングに頻繁に出かけていた時のことです
ある時、自分以外のスタッフが、ヒカリキンメダイの仲間を浅い場所で見つけました。

また伊江島の海人からは、100mくらいのとこをから釣れるという情報を得ていました。
なので、スタッフが見つけたヒカリキンメダイも、たまたま深い場所から移動してきたのだろうと、想像していました。

それ以来、僕自身が実際に、ヒカリキンメダイの仲間に伊江島で遭遇することはありませんでした。

僕はヒカリキンメダイが好き!

実は僕はヒカリキンメダイの仲間が好きで、若い頃から見てみたい魚のトップスリーに入っていました。

30年近く前にシパダンに行ったのはこの魚を見たいためで、カンムリブダイの大行進や、ギンガメアジぐるぐるが見たかったわけではありません(笑)
実際に、ほとんどのダイビングをヒカリキンメダイの観察に費やして、奥さんにあきれられていました。
暗闇できらきら光る様子は、本当に幻想的でしたよ。

伊江島でヒカリキンメダイが目の前に

今年は新型コロナウィルスの影響で、ゲストとのダイビングができていませんでした。
そのため、リサーチを兼ねて島の様々な場所で、通常のダイビングではない時間にもダイビングを重ねました。

5月になれば伊江島の北側のポイントでダイビングできる日も多くなり、北側のナイトダイビングに出かけていました。
その時に、伊江島で初めてヒカリキンメ大の仲間を見ることができました。

初めて見付けた伊江島のオオヒカリキンメ

初めて見付けた伊江島のオオヒカリキンメ

初めてヒカリキンメダイを見た時には、たまたま深いところから上がって来たのだろうと思いました。
しかしダイビングを重ねると、同じ場所で観察できることが分かってきました。

時間を変えて行ってみると、ヒカリキンメダイの出てくる場所もわかり、そこが生息場所だと確信しました。
これが今回のオオヒカリキンメです。
まとめて写真を撮ることは無理ですが、だいたい20個体くらいは観察できました。

そもそもオオヒカリキンメって?

ヒカリキンメダイの仲間は、主にインド洋・太平洋の浅い海に生息し、夜行性の魚です。
目の下にある、そら豆のような発光器で光ります。

発光器を出している、伊江島のオオヒカリキンメ

発光器を出している、伊江島のオオヒカリキンメ


ヒカリキンメダイは、キンメダイ目に属し、6属9種に分類されます。
沖縄の深い海にいるとされるのはヒカリキンメダイ Anomalops katoptron(Bleeker, 1856)で、今回見つかったオオヒカリキンメは Photoblepharon palpebratum(Boddaert, 1781)になります。属も違います。

オオヒカリキンメは発光器の中に発光細菌が共生し、ルシフェラーゼ反応により光ります。
また、発光器の下にある黒い膜を上下させて、シャッターのようにして、光を点滅させます。

シャッターを閉じている、伊江島のオオヒカリキンメ

シャッターを閉じている、伊江島のオオヒカリキンメ


オオヒカリキンメは、インドネシアや南シナ海、マーシャル諸島、オーストラリア北西部になどに分布し、北限はフィリピン周辺海域とされていました。
2013年に真栄田岬で見つかった個体が、日本初記録かつ北限記録で、フィリピンから1,600kmも北上しています。

それ以降、日本でオオヒカリキンメが見つかった例はあるのでしょうか。
もしかしたら、伊江島が北限記録になったかもしれませんね。

長年同じ海で潜っても、新しい発見がある

今回見つけたオオヒカリキンメの場所は、やや深く、時に激流となります。
残念ながら、ナイトダイビングでゲストのダイバーをお連れすることはできません。
ヒカリキンメの仲間を見たいダイバーは、もうちょっとたくさん生息していて、浅い海で見られる場所に行ってくださいね。

でも僕は地元の海で、自分の好きだった魚を見つけ、とても感動しました。
40年くらい同じ海に潜っていても、新しい発見はあるものですね。

コロナが収まって、皆さんと一緒にダイビングを出来るのが楽しみです。
今は、ベラやハナダイの赤ちゃんが可愛いですよ。
それではまた。