夏の伊江島ダイビングでは、魚の赤ちゃんがいっぱい

ドロップオフの浅瀬で幼魚観察

ドロップオフの浅瀬で幼魚観察


沖縄の夏の強い日差しの下で潜るダイビングは、浅瀬のサンゴの海も、ドロップオフの深いブルーも輝いています。
海のキラキラ度が増すのは、様々な魚の赤ちゃんが誕生する、生命力のおかげかもしれません。

群れている幼魚、岩の下や窪みでひっそり暮らす幼魚。様々な魚の赤ちゃんがいて、海の中はとても賑やかです。赤ちゃんだというだけで、普通種の魚にもカメラのレンズを向けたくなってしまいます。

ダイナミックな地形を楽しんだり、綺麗なサンゴに見とれた後は、幼魚ウォッチングをしてみると、意外な発見があるかもしれません。

伊江島で見られる幼魚たち

伊江島のダイビングで見られる幼魚は本当に多いのですが、その中からいくつかの種類を紹介します。
普通種から稀種まで、幼魚はどれも可愛いですね。

アマミスズメダイ(Chromis chrysura)

アマミスズメダイの幼魚

ブルーが綺麗なアマミスズメダイの幼魚


成魚は群れを作って生活し、ドロップオフからパッチ上のリーフまで、いたるところで観察できます。
きわめて普通種のため幼魚も多く、発見は容易です。
小さいうちは青と黒のコントラストが強くて綺麗ですが、だんだん成魚のように白黒の地味な体色になっていきます。

タテジマキンチャクダイ(Pomacanthus imperator)

タテジマキンチャクダイの幼魚

渦巻模様のタテジマキンチャクダイの幼魚


ウズマキと称されるこの幼魚は、岩の窪みなどで見かけます。
同じ属で、幼魚の模様もよく似ているサザナミヤッコは、幼魚時代をタイドプールや水面下のきわめて浅い所で過ごします。
それに対してタテジマキンチャクダイの幼魚は、主に10m以深で生活しているようです。
定着性が強いので、同じ場所で見ることができます。

セダカギンポ(Exallias brevis)

セダカギンポの幼魚

サンゴのポリプに似たセダカギンポの幼魚


セダカギンポの幼魚の体の模様はサンゴのポリプそのもので、じっとして動かないときは、見つけるのが難しい魚です。
成魚も幼魚もサンゴに対する依存度が極めて高く、サンゴの白化などでサンゴがダメージを負った時には、個体数が極めて少なくなります。
伊江島もサンゴがだんだん復活して、セダカギンポの幼魚がたくさんいると、とても嬉しくなります。
初夏の頃、ヘラジカハナヤサイサンゴの中に産卵し、産み付けた卵を守ります。
産卵の期間が長いためか、卵を守る成魚から、小さな幼魚、若魚までを同時に見ることができます。
中でも夏から秋にかけて、幼魚の数が多くなります。

アカククリ(Platax pinnatus)

アカククリの幼魚

ヒラムシに擬態したアカククリの幼魚


成魚の数が少ないため、幼魚が観察できるのも稀です。
見つける場所もさまざまで、ドロップオフの窪みや穴が多いですが、ある時は体験ダイビングで水面近くで見かけたこともあります。
このオレンジ色の輪郭は、ヒラムシの仲間に擬態していると言われています。
確かにアカククリの幼魚と同じ色のヒラムシは、伊江島の海で普通に見られます。

ヒオドシベラ(Bodianus anthioides)

ヒオドシベラの幼魚

ウミウチワに付くヒオドシベラの幼魚


幼魚は定着性が強く、一度見つけたらしばらくは同じところで見かけることが多いので、ガイドにとっては嬉しい魚です。
伊江島の北側のドロップオフで、ウミウチワやウミシダに付くヒオドシベラの幼魚を観察することができます。
ある種のベラの幼魚は、習性として他の魚をクリーニングします。
ヒオドシベラの幼魚もまた、他の魚をクリーニングしている様子を見かけることがあります。

アゴハタ(Pogonoperca punctata)

アゴハタの幼魚

岩の下に隠れるアゴハタの幼魚


成魚はドロップオフ下のやや深い海底に稀に見られますが、伊江島のダイビングでは、ポイントによっては普通に見ることができる魚です。
初夏の頃、幼魚が観察できます。
動きはゆっくりで逃げ回ったりはしませんが、岩の下など目立たないところにいるため、見つけるのが難しい魚です。
成魚でも個体数がが少なく、この派手なカラーのアゴハタの幼魚を見かけたら、とても幸運です。